研究内容の
紹介
動植物相互作用研究室では,植物・植生と,鳥類・哺乳類・人間活動の関係を研究し,将来のあり方を考えています。
果実と鳥類・哺乳類の関係
果実の熟す時期が,果実を食べ種子を散布する鳥類が多く渡ってくる時期に合っていることを,屋久島の照葉樹林での調査から明らかにしました。さらに,果実食鳥類や哺乳類がどのように種子を散布しているか,自然林の結実数の年変動が鳥類の移動や農作物の食害・ツキノワグマの里への出没にどのように影響しているかなどの調査を,滋賀県,立山,九州,屋久島,奄美大島,沖縄島,タイなどの森林で行ってきました。
鳥獣害と植生
湖東・湖北地方のイノシシ・ニホンザルについて,環境利用と植生の関係,農作物被害の特性,糞や食べあと・掘り起こしなどの生活痕跡からみた食性の季節変化,農地と山の境にある林を伐採することで農作物被害を減らす効果があることなどを研究してきました。また伊吹山や鈴鹿山脈御池岳でニホンジカの摂食による植生への影響と,柵の設置などによる回復効果を研究してきました。竹生島においてカワウの営巣による植生の変化,回復について研究してきました。
里山植生の現状と未来
高度経済成長期まで生活に利用され伐採・草刈などで管理されていた里山の植生は,利用がやみ遷移が進んで大きく変化しましたが,生物多様性の減少・獣害の増加・環境や景観の変化などの問題が起きています。伊吹山,荒神山,犬上川河辺林,高島市椋川,京都大文字山,山口県上関などで現状と過去の管理を調査し,望ましい将来像を考えています。余呉の山間部では,焼畑地の植生を調査し焼畑の復活と関係させた新しい里山利用を模索しています。関連した問題として,源流域に残されたトチノキ巨木の保全に取り組んでいます。
侵略的な外来水生植物の対策
琵琶湖周辺に定着し特定外来生物に指定されたオオバナミズキンバイについて,駆除に役立てるために生物学的な特性を研究しています。ほかにナガエツルノゲイトウ,ミズヒマワリ,オオカワヂシャなどの特定外来生物も滋賀県の水辺に定着しており,それらの情報共有・対策の仕組み作り・駆除などの活動を行っています。